日常の学校生活の中において生徒達がなにかに失敗して、落ち込んでいる姿を見るのはつらいものです。そんな時に「こんな思いをさせるくらいなら、失敗しないようにもっと導いてあげなければ」と考える一方で、「これからの人生において、つらいことや苦しいことはたくさんある。いまのうちに失敗を経験させるべき?」と悩むことが多くありました。
今の生徒達の様子を見ていると、「ちょっと壁にぶつかるとすぐに諦める」「打たれ弱い」「失敗を恐れて新しいことに挑戦しない」といった傾向が見られます。一人一人の生徒達は本当にいい生徒達ばかりです。失敗を避けて効率的に生きているように感じています。社会に出て行けば確かに大きな失敗は許されることではありません。そういった風潮が子供たちにも影響し「失敗したらいけないんだ」と思い込んでしまっているのかもしれません。
私はいつも朝礼で「挑戦」というキーワードをもとに生徒達にいろんな事を伝えています。「挑戦」には「失敗」はつきものです。浪速高校では成功を得る為の方法も指導させてもらいますが、失敗をした後についてもしっかりとサポートするように心がけています。「失敗をした時」こそ生徒達の内面的な成長を促すことが出来るチャンスです。それが将来への成功の機会を増やしてくれると考えています。
このままでは人は失敗しない完ぺきな自分を追い求めすぎて、自分に対し自信を失ったり、ネガティブな価値観をもつことで常に否定的・批判的になってしまい自分で決断することが出来ない人間になってしまうかもしれません。そのようにならない為にも失敗を経験した本校の生徒達には「失敗しても大丈夫」と伝えています。今はいろんなことを学ぶ時期です。成功体験だけではなく失敗体験も学びの一つです。いろんな経験が自分自身の「脳」を活性化してくれます。特に失敗体験をしている上で成功も体験している生徒は、目の前のわからない事や、出来ない事を楽しく感じる事が出来ます。向上心とはそういった失敗と成功の繰り返しの経験から生まれてくるものだと確信しています。
本校には生徒達が安心して「挑戦」できる環境と、その後の成功や失敗体験を生徒達と共感し、支え、次のステージに導いて行く事が出来る先生方がいます。浪高生のみなさんなら失敗しても大丈夫。いつも君たちを見守っていると思っていてください。大事なのは成功したかどうかではなく一生懸命に取り組み、やり遂げる事です。その体験や経験から多くの事を学び次につなげる事。この事が一番大切な事です。