2021年9月30日木曜日

インクルーシブ教育

 本日は共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育の一環として大阪南視覚支援学校の先生をお招きして講演を行っていただきました。

「共生社会」とは、これまで必ずしも充分に社会参加できるような環境になかった障害者の方々が、積極的に参加・貢献していくことができる社会の事をいいます。私たちは誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会を目指していかねばなりません。

障害者理解を推進することにより、周囲の人々が、障害のある人や子どもと共に学び合い生きる中で、公平性を確保しつつ社会の構成員としての基礎を作っていくことが大切な事です。次世代を担う生徒達にも、学校においても、このような教育活動を率先して進めていくことは、インクルーシブな社会の構築につながると考えています。

障害のある人が障害のない人と同等に生活し、共にいきいきと活動できる社会を目指す。つまり、障害者側を変えるのではなく、それを取り巻く環境や健常者の意識など「周りが変わる」ことで、障害者がありのまま、健常者と共に生活ができる「ノーマライゼーション社会」を目指していかねばなりません。

生徒達は真剣に講演の内容を聞いており、これからの人生の中において本日の講演を活かしてくれると思います。浪速の生徒達には周りの人の多様性を尊重し、全ての人が精神的及び身体的な能力等を最大限発達させることができる社会環境を作ることに貢献して欲しいと願っています。大阪南視覚支援学校の先生方、本日はご講演いただきありがとうございました。

2021年9月24日金曜日

人間は弱い

 【人間とは本来弱いものだ。だが、信念とか使命感で行動する時は、なぜか果てしなく強くなる。】このような言葉を残しておられるのは日本の実業家でありダイエーの創業者として有名な『中内功氏』です。

私は中内氏の自分自身が『弱い』ということを素直に受け入れておられていることに“勇気”のようなものを感じています。私がみなさんと同じ高校生だった頃に、周りから怖がりだと思われたくないから強がって見せたり、部活動では先生に怒られることを恐れて出来る事しかやらず、その結果何の成長も出来ず、試合では勝利も掴めずに落ち込んだ時期がありました。要はその時私は安全策をとっていたのかもしれません。無難にその時その時をかわそうとしていたと思います。

でも当時の事を思い出しながら、『もしも当時、この言葉に出会っていたらもっと早く大きく成長できていたのかもしれない』とは思いませんでした。なぜなら、このようなアドバイスを何度も先生方から受けていた記憶があるからです。では、なぜ当時はできなかったのか。その理由は今回の言葉の後半部分にあると思います。

それは覚悟(信念と使命感)を持った人間の強さを、当時は残念ながら信じ切ることができなかったのです。もしくは、信じることが怖かったのかもしれません。自分には根拠もない中途半端な自信も多少ありながら、信じ切る勇気もなく、それを周りに悟られることを嫌う複雑な心理状態にあったように思います。要は「良い格好」したい、「格好よくみられたい」などの“多感な時期”だったのだと思います。

みなさんの周りの仲間には『果てしなく強い』人がいませんか?もし存在するならその仲間と自分の違いはどのようなところにあると考えますか?才能の違いでしょうか?私は違うと思います。その違いは、弱さを隠したり拒絶したりするのではなく、思い切って真正面から受け入れ、信念と使命感を持っている人だからではないでしょうか。

人間は本来弱いもので、様々な不安に押し潰されてしまいそうになることもあります。また簡単に覚悟を決めるということも難しいことだと思います。私自身も弱く、昔はそんな自分がとても嫌いで周りからも弱い人として見られているのではないか、という不安な気持ちで前を向けない時期がありました。今は当時よりは“マシ”になりましたが、決して強くなったとは思っていません。ただ、弱さを隠さなくなりました。弱さを隠したり拒絶したりするのではなく、思い切ってそんな自分を受け入れてしまった方が前に進むことが出来る事に気づいたのです。

自分なりの信念や使命感を持って素直に自分と向き合うことが出来れば、おのずからやるべきことが見えてきます。そうすることで自分でも気づいていない大きなパワーや強さを体感する事が出来ると思っています。浪高生の皆さんも今の自分のすべてを受け入れ、しっかりと前を向いて挑戦して行けば必ず道は開けます。

2021年9月18日土曜日

第55回浪速祭

 本日第55回浪速祭を実施しました。台風の影響が心配されましたが学院神社の大神様のお導きにより実施することが出来ました。本校では浪速祭の前に秋季例祭を執り行います。『報恩感謝』の誠を捧げ、生徒の皆さんの健康と安全、浪速祭の盛大、進学を目の前にした3年生がそれぞれの目的がかなえられる事を祈願する大切な神事です。

今年の浪速祭のテーマは『なにわともあれ~GO! GO! Cooperate』。このテーマには浪速と共にあれ、浪速の友とあれ、なにわともあれ、という3つの思いが込められています。今回の浪速祭は≪オンライン浪速祭≫とし新しい方法で実施しました。

一つのテーマを掲げ、そのテーマに向って各クラスが工夫をこらし、知恵を出し合い、仲間と協力しながら一つの動画を創り上げて他のクラスの仲間たちにメッセージを伝える形としました。2学期に入ってから、校内の至る所で各クラスの仲間がいろんな方法で動画を撮り、多彩な表現を用いてクラスの仲間たち同士で協力している生徒達の姿を見ることが出来たのは本当に久しぶりでした。これが浪速祭です。

そこには笑顔と仲間と過ごす大切な時間を過ごす生徒達の姿がありました。これぞ浪速!という感じがしました。1年以上に渡る自粛期間でいろんな学校行事が中止となる中、昨年度から自治会役員の皆さんがいろんな知恵を出し合い、浪速祭の伝統を守りながら、新しい浪速祭を自分たちの手で創り上げていこうと毎年いろんな方法とテーマを一生懸命に考えてくれています。 

一つのテーマで全校生徒達が気持ちで繋がる、これが浪速祭で最も大切な事だと思っています。今までの浪速祭とは違った形での浪速祭となって2年。新しい浪速祭の形が少しずつ出来上がってきているのではないかと思っています。あと1年半で100周年を迎える学校の一つの伝統をこのようにつないでくれた自治会の皆さん、そして生徒の皆さんに心から感謝します。本当にありがとう。

動画を作成するにあたり企画、撮影、編集と大変であったと思います。本当にご苦労様でした。各クラスを見て回ると、どのクラスも動画を鑑賞している姿からは仲間をリスペクトし、一つ一つの動画から何らかのメッセージを受け取ろうとする姿勢が見られました。本校の生徒達の素晴らしさを再確認できた第55回浪速祭でした。

最後に自治会の役員、放送部の皆さん、編集に関わった生徒達、そして生徒達をサポートしていただいた先生方に深く感謝します。ありがとうございました。素晴らしい浪速祭でした。生徒達はいい思い出が出来たと思います。また来年の浪速祭をお楽しみに。

2021年9月15日水曜日

3年生頑張ってます。

 昨日と今日、2日間にわたり高校3年はマーク模試を受験しました。進路実現に向けての、現時点での実力確認を兼ねての模試となります。

全国の高校3年生の中で、今の自分の位置がどのあたりにあるかを確認することは非常に大切です。その後の結果に関しては一喜一憂することは必要ありません。大事な事は今の自分の状況を冷静に判断し、そして分析して次に向けての戦略を練り実行に移すことです。

これから大切な時期に入っていきますが、コロナ禍の状況下で感染の不安や学習面での不安など不安要素が多くあると思います。しかし、そう言った不安を乗り越えるにはやはり最後は『自分の夢に懸ける想い』ではないでしょうか。先生たちはサポートを惜しみません。周りの人の力も借りながら是非乗り切ってほしいと思います。

最後の最後まで諦めず「折れない心」をもってこれから始まる本番に向けてしっかりと準備をしてください。全ての浪速の生徒が共有している想い『今を一生懸命生きる』。この言霊(ことだま)を忘れず、自分の夢(自己実現)に向けてより一層の努力を期待しています。

2021年9月13日月曜日

9月朝礼~表彰伝達~

8月に行われた各大会において優秀な成績を収めた部活動に対しての表彰伝達を朝礼の中で実施しました。コロナ禍の中、部員達は精一杯の力を出し切ってきてくれました。これからも限られた時間の中での練習ですが充実した練習となるように創意工夫しながらチーム一丸となって準備してほしいと思います。また本日は2学期最初の朝礼という事もあり2学期学級委員の任命式も行いました。クラスの中でのリーダーとして積極的に活動してほしいと思います。

学級委員長任命式各学年代表者

学級委員各学年代表者

【表彰伝達】

 人間総合科学大学主催 第3回食のアイディアコンテスト「食の課題解決部門」

   最優秀賞   1名

吹奏楽部  

 第60回大阪府吹奏楽コンクール 大阪府大会 高等学校の部 A組  金賞

 第71回関西吹奏楽部コンクール 大阪府代表 高等学校の部 A組  銀賞

吹奏楽部代表者

空手道部

 第76回大阪高等学校総合体育大会 空手道競技

   学校対抗総合成績  第1位

   男子団体組手    優勝

   男子団体形     優勝

   女子団体形     優勝

空手道部代表者

書道部

 全国書画展覧会運営委員会主催 第43回ふれあい書道展

   特選   1名

   奨励賞  5名

パソコン部

 WRO Japan 2019大阪中央公認予選会 ミドル部門 シニア競技

   2位   2名

硬式テニス部

 第32回 池村杯 サマージュニア選手権大会

   男子シングルス  優勝

   女子シングルス  準優勝

   女子ダブルス   優勝

 第76回大阪高等学校総合体育大会

   男子シングルス  優勝

   女子シングルス  3位

   女子ダブルス   準優勝 

9月朝礼~校長講話~

 本日は2学期に入って初めての朝礼を行いました。コロナ感染が若年層に広がっている状況の中、本校で対面授業が出来ている事は、生徒達の感染予防に対する意識の高さだと伝えました。一人一人の生徒が誠実に行動しているからこそ感染の拡大を防ぐことが出来ていると考えています。今後も気を緩めることなく感染対策を万全に取るようにお願いしました。

2学期には多くの学校行事が予定されています。浪速祭は、今年度は『オンライン浪速祭』として各クラスのみんなが協力し合って動画を作成し発信する形としました。本校の強みでもあるICT機器を使っての浪速祭となっています。また10月に予定していた陸上競技会は感染リスクが高いために今年度は中止としました。2年生の修学旅行については、実施に向けての準備は整いつつありますが、今後の状況によっては延期や中止も検討しなければなりません。

このような行事の変更や学校生活においての行動制限、また部活動での練習時間の制限など多くの制限がある中で高校生たちは過ごしています。楽しみや充実感が満たされていない期間が長期化することによって、生徒達の前向きな気持ちが失われていかないかとても心配です。今日の朝礼ではその様な気持ちにならぬよう私から『折れない心』をキーワードとして講話させてもらいました。

人は不安や不平、不満が募るとどうしても前向きな気持ちを持てなくなる事もあります。今の状況に慣れてしまい「もういいや!」っていう気持ちになりがちです。でもそこで諦めるのではく何か行動を起こしてほしいのです。今自分が出来る事を。行動を起さなければ何も変りません。そして行動する為にはエネルギーが必要となります。今一人一人の生徒達が持っている想いを、誠実に感情を上手くコントロールし、そのエネルギーを自分の為に役立つ行動を起こす力に変えてほしいと伝えました。誠実な正しい行動をとれば必ず自分に正しく戻ってきます。この2学期、浪高生達には1学期以上に誠実でエネルギッシュな学校生活を過ごしてほしいと願っています。

2021年9月9日木曜日

安心感を与える大切さ

 『とにかく相手の話をよく聞くことが重要です。目の前の人が自分の話を真剣に聞いてくれていると思ったら、安心して本音が話しやすくなるじゃないですか。』この言葉は平尾 誠二氏の言葉です。ミスターラグビーと呼ばれ、日本代表選手、日本代表監督、神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼任ゼネラルマネージャーなどを歴任し現在のジャパンラグビーの基礎をつくられた人の言葉です。

教師でもありスポーツ指導者でもある私も常に同じことを心掛けてきました。それはいつも生徒・選手の目をしっかりと見ながら話をしたり、聞いたりする事。どんなに忙しくても時間をとって行ってきました。生徒達や選手たちは段々と本音を語り始めそして自我も強くなり、時にはわがままを言いだす生徒や選手も多くいました。でも「いい加減にしろ!」としかるのではなく安心させて諭していくことを大事にしてきました。

また平尾氏が若干53歳の若さでこの世を去った時、同級生でもあり友人であった2012年ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥博士が、平尾氏との思い出の中で人を叱るときの4つの心得を教えてくれたと言っておられました。一つは行動やプレーは叱っても人格は責めない。二つ目は必ず後でフォローする。3つ目は他人と比較しない。4つ目は長時間叱らない。この心得は教師としてもスポーツ指導者としても生徒と選手に安心感を与えるのに最も重要な事だと思っています。

浪速の先生方は常に生徒に寄り添いながら生徒達を見守り、時には厳しくそして時には包み込むように諭していくことが出来る先生方ばかりです。一人一人生徒達がしっかりと前に進むことが出来るように導いてくれます。生徒達が安心して正しい道を選択する為にも私達教師たちは生徒達とどのように向き合い、コミュニケーションをとっていくことが出来るかどうかが大事です。様々なアプローチをしていきながらこれからも全力で生徒達をサポートしていきたいと思っています。

2021年9月6日月曜日

時代はIQからEQへ

高校生なら知っているとは思いますがIQとは知能指数を示すものであり誰もが知っている事です。しかし最近では「頭」の知能指数であるIQよりも「心」の知能指数であるEQが注目されています。

EQとは(Emotional Intelligence Quotient)1989年アメリカのピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって初めて発表されました。その論文によると、IQは頭の良さをあらわす知能指数であるのに対してEQは「生きる力」をどれぐらい持っているかを表す指標と言われています。

人間にはもともと備わっているもののようですがうまく発揮できる人と発揮できない人とに分かれていると言われています。人間の言動はその時の気分や状態によって変わるものでその時に自分自身が置かれている状況によってもその都度変わってしまいます。自分が置かれている状況を認識してコントロールできれば適切な言動ができるようになります。

浪速高校では「たくましく、しなやかに生き抜く力」を育むことを大切にしています。これからの社会においてはAIなどの進出により「頭の良さだけでは仕事はできない」とまで考えられるようになってきています。その様な激動の社会で浪高生達は生き抜いていかねばなりません。浪速高校は好奇心旺盛で素直な努力家、そしてコミュニケーション能力が高く協調性があり、自分の感情をコントロールでき逆境に強い人材を育てる為に日々教育活動を行っています。

浪高生の皆さんが毎日学んでいる学校は、これからの社会を生き抜く為に必要な力を身に付け育むことが出来る学び舎であるという事をもう一度認識してください。冷静に自分自身を見つめられる客観性と人の心に寄り添える感受性を養う事が大事だと考えています。浪速で学ぶ生徒達にはIQとEQの双方を兼ね備えた人間となってほしいと願っています。その為にも日々先生方と一緒に挑戦し学び続けていきましょう。

2021年9月3日金曜日

大阪880万人訓練

今年の大阪880万人訓練も昨年同様にグラウンドへの避難行動を回避しての防災訓練となりました。しかし生徒達の教室での様子を見ているとこの防災訓練の重要性を認識してくれていたように思います。今日の大阪880万人防災訓練は9月1日の防災の日の2日後、大阪府民が防災について考え、近い将来必ず起きると言われている東南海地震、また豪雨災害、などの自然災害から自分の命、家族の命を守る為に何をしなければならないのかを真剣に考える機会です。

日本は過去にたくさんの大きな自然災害に見舞われています。阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、大阪北部地震、近年は全国で豪雨災害が多発しており最近では熊本県人吉市球磨川(くまがわ)の氾濫、広島県や九州地方で大雨による土砂崩れ・河川の氾濫が頻繁に起きています。そして、今年は静岡県での大規模な土砂災害など全国各地で豪雨による被害が多く発生しました。

このように自然災害はいつ、どこで、どのように発生するのかわかりません。私たちは一人一人生活環境が違います。学校以外の自分が生活している場所の周辺においての避難場所、経路または危険と考えられる場所などを、ハザードマップを見るなどして確認をしておかねばなりません。

地震や津波、火災などが発生した場合、自分はその場所でどう行動するべきか決めておく。家では家族と相談し、学校では仲間と先生と、そして外出先ではどうする?など自分自身の生活状況に応じて、災害が発生したその時その時で命を守る判断をしなければなりません。

重要なのは冷静に落ち着いて行動する。情報を正しくキャッチする。安全な場所で待機する。必要以上に動かない。混乱の時ほど情報は錯そうします。そういった事前に災害に対する覚悟と知識が必要です。あらゆるケースを考えて対応をイメージし、もしもの時にきっちりと命を守れる行動が出来るように今日の大阪880万人訓練をいかして自分の命と家族の命を守ることが出来るように備えてほしいと思います。