2020年10月22日木曜日

高校1年生人権ホームルーム

 本日は1年生を対象に人権研修会を5限目・6限目を使って開催しました。

人権とはすべての人が幸福な人生をおくるために欠かすことができないものです。いつでも、どこでも、誰でも、そして平等に保障されるべきものであり、現在だけでなく将来にわたって保障されるべき権利です。

安心して生きる権利、自分で自由に考え意見をいう権利、仕事を自ら選び働く権利、教育を受ける権利や裁判を受ける権利など、人が生まれながらに持っている基本的で具体的な権利の総称です。権利は、英語ではRight。人権は、Human Rightsです。humanは、「人間らしい」という意味。だから、人権(Human Rights)とは、人間らしく生きるための権利といえます。

権利に関して調べてみました。ルソーは、こんなことをいっています。

「権利の平等、およびこれから生ずる正義の概念は、それぞれの人が自分のことを先にするということから、したがってまた人間の本性から出てくる」

(ルソー、『社会契約論』)

 権利は神からではなく、人間の本性からもたらされる。ルソーはそういっています。ルソーのいう人間の本性とは、自己愛、すなわち自己中心性のことです。自己中心性とは、いいかえれば自分自身へ配慮することです。自己中心性の根底にあるものは、「私は欲する」、つまり個人の「欲望」にほかなりません。

 人は誰しも欲望や自由を優先したいと思う本性をもっている。そうすると必ず、他人との競争や対立が生じる。互いの欲望を譲らず自己主張をつづければ、殺し合いに至ることもある。結局、互いに相手を殺さず、ともに生きるためには、他人との間の「対立」を緩和したり解消したりするしかない。つまり、互いの自由を認め合うしかない。ここから権利の概念が導き出される。人間は、互いの欲望を認め、共に生きるために「約束」するのだ、ここに権利が生み出される根拠がある 。ルソーはこのように考えたと書かれていました。 

今法務省から出されている人権問題は16項目が出されています。

「女性の人権」「子どもの人権」「高齢者の人権」「障害を理由とする偏見や差別」「同和問題(部落差別)」「アイヌの人々に対する偏見や差別」「コロナやHIV感染者等に対する偏見や差別」「性的指向(Sexual Orientation:セクシュアル オリエンテーション)性自認(Gender Identity:ジェンダー アイデンティティ)」など今日本にはこのような人権問題が起きています。

それらを学び知ることによって一人一人の人が尊厳をまもられ、そうしてはじめて人は社会の一員としての役割をはたすことができます。学校生活も同じだと思います。生徒一人一人が楽しく、自分の能力や才能を最大限伸ばし自分の目標を達成できる環境を構築する為にも、互いに認め合い、仲間を大切にし、思いやり、優しさが大切です。

みなさんは学校という小さな社会集団から今後は世界という大きな社会集団へ旅立っていきます。その社会集団の一員として、豊かで幸せな社会を創り上げていくために努めていかねばなりません。だからこそ今こういった問題を学ぶ事が重要です。人権は人がそれぞれの資質や能力を生かして自分本来の生き方や成長を可能にする(自己実現)ために必要です。自分の生き方を責任を持って自分で選ぶことができる。そういった環境を整えるためにも。

いつもみなさんに伝えているように、世の中ではインターネット上での人権侵害になりかねない行為が多発しており、大きな課題となっています。不特定多数の人々に匿名で大量の情報発信ができるというインターネットの特性を利用したものです。無責任な他人への誹謗・中傷や、プライバシー侵害など今後もインターネットを大いに利用するみなさんにとって、IT社会にふさわしい正しい人権感覚を身に付けていかなければなりません。

これからも社会はすごく速いスピードで変化し進んで行く事でしょう。そのスピードにおいていかれないようにするためにも毎日「何かを学ぶ」そして「常に考える」という習慣をつけておく事が大事ではないでしょうか。自分で目の前の事に真摯に向き合い考え出すことが大事な事です。「答えは近い未来にある。」と思います。