2023年4月27日木曜日

「真心」

「力によってねじ伏せようとしたものはいつかそれを跳ね返そうとする。しかし真心をもって扱われた者は心で返してくれる。」

この言葉は、戦国時代から江戸時代前期にかけ米沢藩の家老であった武将「直江 兼続」の言葉です。直江兼続が全国的に注目されたのは 2009 年に放送された大河ドラマ『天地人』だと思います。上杉景勝の家臣でありながら、豊臣秀吉、徳川家康らを魅了し、また最も恐れられた男の波乱の生涯を俳優の妻夫木聡さんが演じ、『智将:直江兼続』というイメージが広がりました。

天下人と呼ばれる豊臣秀吉や徳川家康からすれば、目の前にいる人間が自分にとって脅威になるかを嗅ぎ分けるのは容易いことだと思います。そういう意味でも高い知性はもちろん重要ですが、それが先に出てしまう人間であれば天下人の心は動かなかったのだと思います。しかし、今回の言葉にあるように、彼から受ける印象の中で一番先に挙げられるのは“真心”だったということがわかりました。

人間がすることの全てに“感情”が入ると私は思っています。わがままと言われる人がいますが、自分の意志や自分の中にある正義のもとで行動や言動をしているだけで、本人としてはわがままを言っているつもりも『自分以外がどうなっても構わない』と思っているわけではないのかもしれません。常に優しく何を言っても穏やかに対応してくれる人がいますが、全て柔軟で簡単に対応できる能力や自信があるからとは限らず、頼まれたことを全うしなければという使命感やわがままを咎めることで人を傷つけたくないという思いから『だったら自分が傷つけばいい』と思って自分の感情や痛みを飲み込んで我慢しているだけなのかもしれません。

人それぞれ感じ方や考え方は違いますし、現在抱えているストレスも違います。また、ストレス耐性も違うと思います。そういう意味では人の“本音”というものは、簡単に読み取れることではないと改めて感じました。日々の生活の中で様々なシーンに遭遇し、その受け止め方によって生まれる感情もまた様々です。どうしても相手側に寄り添いきれないこともあるかもしれません。言い訳をして逃げたい時もあります。そんな時にほんの少しでも人を思いやる真心を持たなければならないと思います。神道の精神を建学の精神とする浪速高校で学ぶ浪高生達にはその様な「真心」をもった学校生活を過ごしてほしいと思っています。