2023年4月19日水曜日

試練を乗り越える

 【「誤審」は神様がオレに与えた試練なんだろうな。】

この言葉は元WBAスーパーフライ級世界王者のセレス小林氏の言葉です。この言葉から感じた事は、「誤審」を「試練」と受け取ることで、自分のモチベーションを上げられたんだな。と感じました。

私も現役時代や指導者として長年スポーツに関わってきました。何度も試合中に誤審だと感じた経験があります。スポーツをやっていた人だけではなく、観客としてスポーツを観戦していても同じような事を感じたことがある人は多くいるかもしれません。審判に対するリスペクトやスポーツマンシップという観点から審判が下したジャッジに素直に従うことは競技を行う上での当然の『心得』と思っています。しかし、審判のジャッジひとつで試合の流れや得点や失点など、試合結果を左右すると言っても過言ではありません。

近年、テニスやバレーボール・野球などではライン際のジャッジやボール・ネットタッチなどの微妙な判定に対して画像による解析要求ができ、それによって審判の最初のジャッジが覆ることがあります。私の経験上、そのジャッジによって自分(自チーム)が不利・有利になることはほぼ半々ですので『お互い様』だと受け止めることもできます。

しかしその反面、そのジャッジの影響でその選手、またそのチームにとって選手生命や大きな栄冠を取れないなどを左右するような大きなダメージを受けてしまうことも、特にプロアスリートの場合は考えられると思います。私は今回の言葉を知った時に“さすがに納得できない時もあるのではないか?”という考えが浮かびましたが、きっとこの言葉からは『試合は選手だけではなく審判や運営者、観客たち全員で作るものだ』という気持ちがセレス小林さんにはあったと思っています。だからこそ“一歩間違えれば”という非常にシビアな問題であっても“試練”と受け止められるのだと感じ、そのメンタリティに『さすが世界王者になる人だな』と感動しました。

自分にとって都合の悪いことが起こった時、ついついモチベーションが下がります。『あの出来事のせいで自分はやる気が無くなったんだ』と誰かのせいにしたくなります。しかし、それで自体が好転したということは見た事、聞いたことがありません。理由はどうあれモチベーションを下げるという選択を最終的にしたのは紛れもない自分自身なのです。

もちろんすぐに気持ちを切り替えることは難しいと思います。ただ、今回の言葉のように“試練”と受け止めることで少しでもリスタートのタイミングを早めることはできるのではないでしょうか。気持ちが落ち込んだ時こそ少しでも早く切り替えてスッキリ、光り輝く未来をしっかりと見て前に進んでほしいと思います。