2021年9月24日金曜日

人間は弱い

 【人間とは本来弱いものだ。だが、信念とか使命感で行動する時は、なぜか果てしなく強くなる。】このような言葉を残しておられるのは日本の実業家でありダイエーの創業者として有名な『中内功氏』です。

私は中内氏の自分自身が『弱い』ということを素直に受け入れておられていることに“勇気”のようなものを感じています。私がみなさんと同じ高校生だった頃に、周りから怖がりだと思われたくないから強がって見せたり、部活動では先生に怒られることを恐れて出来る事しかやらず、その結果何の成長も出来ず、試合では勝利も掴めずに落ち込んだ時期がありました。要はその時私は安全策をとっていたのかもしれません。無難にその時その時をかわそうとしていたと思います。

でも当時の事を思い出しながら、『もしも当時、この言葉に出会っていたらもっと早く大きく成長できていたのかもしれない』とは思いませんでした。なぜなら、このようなアドバイスを何度も先生方から受けていた記憶があるからです。では、なぜ当時はできなかったのか。その理由は今回の言葉の後半部分にあると思います。

それは覚悟(信念と使命感)を持った人間の強さを、当時は残念ながら信じ切ることができなかったのです。もしくは、信じることが怖かったのかもしれません。自分には根拠もない中途半端な自信も多少ありながら、信じ切る勇気もなく、それを周りに悟られることを嫌う複雑な心理状態にあったように思います。要は「良い格好」したい、「格好よくみられたい」などの“多感な時期”だったのだと思います。

みなさんの周りの仲間には『果てしなく強い』人がいませんか?もし存在するならその仲間と自分の違いはどのようなところにあると考えますか?才能の違いでしょうか?私は違うと思います。その違いは、弱さを隠したり拒絶したりするのではなく、思い切って真正面から受け入れ、信念と使命感を持っている人だからではないでしょうか。

人間は本来弱いもので、様々な不安に押し潰されてしまいそうになることもあります。また簡単に覚悟を決めるということも難しいことだと思います。私自身も弱く、昔はそんな自分がとても嫌いで周りからも弱い人として見られているのではないか、という不安な気持ちで前を向けない時期がありました。今は当時よりは“マシ”になりましたが、決して強くなったとは思っていません。ただ、弱さを隠さなくなりました。弱さを隠したり拒絶したりするのではなく、思い切ってそんな自分を受け入れてしまった方が前に進むことが出来る事に気づいたのです。

自分なりの信念や使命感を持って素直に自分と向き合うことが出来れば、おのずからやるべきことが見えてきます。そうすることで自分でも気づいていない大きなパワーや強さを体感する事が出来ると思っています。浪高生の皆さんも今の自分のすべてを受け入れ、しっかりと前を向いて挑戦して行けば必ず道は開けます。