今日9月21日は国連の定める「世界平和デー」です。2002年国連の会議で制定され、その目的は非暴力と世界の停戦の日として敵対行為の停止を世界の国々と人々に呼びかける事が大きな目的です。本校においても数年前から書道部の生徒達が大阪護国神社で行われる「世界平和」のメッセージを発信する奉納揮毫(ほうのうきごう)に参加させてもらっています。今年も多くの方が見守る中、生徒達が「世界平和」を願い気持ちのこもった奉納揮毫をさせていただきました。
日本は先の大戦では300万人を超える尊い生命が失われました。ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事の懸念など、残念ながら世界平和の実現には至っていません。そんな中ではありますが私達や若い世代、特に高校生たちがこのような「書」を通して世界平和を訴える事は非常に大切な事だと考えています。
この世界平和の願う日に昨年と同じ絵本を紹介させてもらいます。「ハチドリのひとしずく」というタイトルの絵本です。この本は南米のアンデス地方に伝わる話で、明治学院大学国際学部教授の辻信一先生が翻訳し、日本に紹介されたそうです。短いですので全文を紹介します。
森が燃えていました。
森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました。
でも クリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり 口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」といって笑います。
クリキンディは「私は、私にできることをしているだけ」と言いました。
今の私たちが世界の平和に対して貢献できることを考えてみても、その力はあまりにも小さなものです。それを自覚しているが故に、平和に対して具体的に何かできることがあっても、どうせ変わらないだろうと何もしないというのは、単なる言い訳にすぎません。平和、平和と声高に訴えることだけでは、何も変えることはできません。では、無力な今の自分には何ができるのか‥‥。この絵本が教えてくれることは「その時の自分にできることに全力を尽くす」ことだということです。
今日の奉納揮毫では田辺先生が書かれた「祈」という書の周りに参加された方々が寄せ書きをさせていただきました。世界の平和を願って一人一人小さな思いですがその思いの強さは計り知れす深いものです。その様な小さな力が結束すればきっと多くの人々の心を動かしそして世界平和への行動へと移っていくと信じています。
英国の作家リットンの言葉に「ペンは剣よりも強し」という言葉があります。言論には武力以上に世界を平和的に変える力があるというものです。ペンを書に置き換え「書は剣よりも強し」という志で、書道という日本の文化を通して、また日本人としてこのような平和活動に参加させてもらえることに感謝の気持ちでいっぱいです。
今日の奉納揮毫が世界平和を願う「ひとしずく」だと信じて奉納させていただきました。世界平和への道のりは長く遠いものかも知れませんが、お互いがお互いを認め、リスペクトし合うことで多くの困難を乗り越えられると信じています。
この様なプロジェクトへ参加できたことを心から感謝し、そして奉納揮毫してくれた本校書道部の生徒達を誇りに思っています。書道部の皆さんありがとう。これからも「書」を通して多くの想いを発信してください。活躍を期待しています。