これは、20年間無敗を誇った伝説の雀士、桜井章一氏の言葉です。桜井氏は、本当の強さを身につけるためには心構えも大切だが、それ以上に重要なのは「間に合うこと」だと説いています。実際に、長年にわたり数多くの雑誌や書籍を執筆してきたにもかかわらず、一度も締め切りに遅れたことがないそうです。
この「間に合う」という言葉は、単に時間を守るという意味だけではありません。勝負や人生において、必要な時に必要な行動が取れること、変化や危機に適切に対応できることを意味しているのだと思います。
武道やスポーツには「間合い」という言葉があります。達人と呼ばれる人たちは、その場の状況を正確に感じ取り、最適なタイミングで行動する力を磨いてきました。桜井氏は次のように語っています。
「間合いを外さないようにすることで、何事にも間に合うようになる。うっかり外してばかりいる者を『間抜け』という。」
この言葉には深い意味があります。周囲の状況や人の気持ち、小さな変化に気づくことができれば、自然と行動も変わります。時間を守ること、約束を守ること、人に優しくすることなど、さまざまな場面で「間に合う」人間になることができるのです。
また桜井氏はこんなエピソードも紹介しています。
ある日、弟子たちと電車に乗っていた時のことです。近くに座っていた女性の足元に手袋が落ちていました。桜井氏はすぐに違和感を覚え、「手袋が落ちている」「女性用だ」「きっとこの人のものだ」と次々に気づき、すぐに拾って渡しました。しかし、一緒にいた若者たちは誰一人気づかなかったそうです。
桜井氏は、このような「気づく力」が日常生活の中で養われていなければ、本当に大切な場面でも間に合うことはできないと話しています。つまり、「間に合う」とは、日頃から周囲の変化や人の様子に気づき、適切な行動を取ることができる力なのです。
私たちは日常生活の中で多くのサインや変化に囲まれています。それらに気づき、自ら行動できる人こそが、本当の意味で生き抜く力を備えた人なのではないでしょうか。
本校の生徒たちにも、勉強や部活動だけでなく、人への思いやりや周囲への気配りにも「間に合う」人間になってほしいと思います。そして、「気づく力」と「間の感覚」を磨きながら、社会を生き抜く強さを身につけてほしいと願っています。



